パスが来た瞬間、ボールがポーンと大きく跳ね上がってしまう。次の動きに移ろうとする前に相手に寄ってこられて、そのまま取られてしまう——そんな場面を何度も見ているお母さんやお父さんは少なくないと思います。
「練習はしているはずなのに、なぜ試合になるとボールが収まらないんだろう」と、首をかしげることもあるかもしれません。
トラップには、いくつかの「なぜ止まらないか」の理由があります。そこを知ってあげるだけで、お子さんの練習の意識がぐっと変わってきます。この記事では、よくあるつまづきポイントを順に解いていきます。
トラップは「止める」より「置く」が本質

まず知っておいてほしいのは、トラップの目的は「ピタッと止める」ことではない、という点です。
トラップの本当の役割は、ボールの勢いを吸収して、次のプレーにつなげやすい場所にボールを置くことです。ただ足元に止めるだけでは、そこからもう1タッチ必要になって、次の動作が遅れてしまいます。
「止める」から「置く」に意識が変わると、練習の目的が変わります。ボールをどこに置けば次が早くなるかを考えながら受ける、という感覚が育ってきます。
ボールが浮く・止まらないお子さんへ
ボールが浮いてしまう
ボールが浮く原因の多くは、ボールの下側を触ってしまっていることです。下から当てるとボールに上向きの力が加わり、ポーンと浮き上がってしまいます。
ボールの中心、または半分より少し上を触るようにすると、浮きにくくなります。「ボールのどこを触るか」を意識するだけで、足元に収まる感覚がつかめてきます。
もうひとつ、足を固くして構えていると、当たったボールをそのまま弾いて浮かせてしまうこともあります。力を抜いて柔らかく受けることも、浮かせないための大事なポイントです。
また、足の面を広く使うことも大切です。ボールを受けるのは足の内側の面(インサイド)で、くるぶしの下から土踏まず、親指の付け根あたりまでの広い内側の面です。この広い面で受けると当たる面積が大きくなり、勢いを殺しやすくなって安定します。足の外側や甲ではなく、内側の面で包むように受けるのがポイントです。
ボールが止まらない・勢いを殺せない
パスの勢いが強いとき、足に当てても跳ね返って遠くに転がってしまう——これは勢いを殺せていないことが原因です。
大切なのは「クッションコントロール」という感覚です。ボールが足に当たる瞬間に、力を抜いて衝撃をふわっと受け流します。足をほんの少し後ろに引くとイメージしやすいですが、大きく引きすぎると、次に触り直すのに時間がかかって動きが遅れます。あくまで軽く、勢いを吸収する程度にとどめるのがコツです。
力を入れて固く構えると、ボールは跳ね返りやすくなります。柔らかく・軽く受けるイメージで、インサイドの広い面を使ってやさしく包み込むように当たると、ボールが自然と落ち着きます。
トラップのあと、次の動作が遅れるお子さんへ
トラップが足元にきれいに止まっても、次の動きに時間がかかる——これもよくある悩みです。
原因のひとつは「ボールを自分の足元にピタッと止めすぎること」です。足元に止めてしまうと、次に進むためにもう1タッチ必要になります。そのわずかなタイムロスが、相手に詰める時間を与えてしまいます。
「止める」のではなく「進みたい方向へ少しボールを置く」——ファーストタッチで次の動きに入れる場所にボールを動かす感覚です。止めてから動く2ステップを、置きながら動く1ステップにまとめるイメージです。
もうひとつ大事なのは、ボールを受ける前の準備です。体の向きを作って、周りを見ておく。「受けたらどこに出すか」を決めてから受けることで、トラップした後の動きがぐっとスムーズになります。
止めたい場所・置きたい場所を決めてから受ける——この意識が身につくと、次のプレーのスピードが変わってきます。
浮き球がうまく処理できないお子さんへ
空中から落ちてくるボールのトラップは、転がってくるボールとは少し違うコツが必要です。
まずやることは「落下地点に入る」こと。ボールが落ちてくる場所を目で読んで、自分がそこに移動します。落下地点に体を持っていくことが先で、足を伸ばして迎えにいくのは後です。
次に、受ける部分(足のインサイド・もも・胸)を落ちてくるボールの真下に準備します。ボールが当たる瞬間に、当てる部分をふっと少し引いてあげると、重力の勢いをやわらげることができます。
「迎えにいく」より「ボールに合わせてついていく」感覚です。力を入れて迎えると跳ね返りやすくなります。力を抜いて、ボールが当たった瞬間にそっと引く。これがクッションになります。
ももでのトラップも浮き球に有効です。太もものやや前の面で受けると、面積が広くて安定します。胸で受けるときも同じ感覚で、当たる瞬間に少し後ろに引きながら受けると、きれいに足元に落とせます。
家でできる練習の入口
特別な道具がなくてもできる基本練習があります。
「壁当て」は、壁に向かって蹴ったボールが跳ね返ってきたところをトラップし、また蹴る、という繰り返しです。次に蹴りやすい場所にトラップできているかを確認しながらやると、「どこに置くか」の感覚が育っていきます。
「リフティング」もトラップに役立ちます。ボールの中心をとらえる感覚を繰り返すことで、足への当て方の精度が上がっていきます。最初は続かなくても大丈夫です。1回でも2回でも、正確に当てることを意識するだけで十分です。
練習のなかで意識してほしいのは「力を抜いて柔らかく受ける」ことと、「止めたい方向・置きたい場所を決めてから受ける」こと。この2点だけ頭に置いておくと、日々のボールタッチが少しずつ変わってきます。
毎日少しでもボールに触る時間を作るのが、遠回りに見えて一番の近道です。焦らず、ゆっくり正確なタッチから始めてみてください。
柔らかく受けようとしても、体に力が入ってしまうなら
力を抜いて受けよう、と意識してもうまくいかない——こういうお子さんもいます。
インサイドを意識しても、クッションの動きを意識しても、どこかタッチが硬い。足先だけ緩めようとしても、体全体が固まっていると難しくなります。
体の力みが抜けて、重心が安定してくると、ファーストタッチが自然と柔らかくなったという子がいます。技術を磨きながら体の土台も整えていくことで、変化を感じやすくなることがあります。
プロ選手が技術だけでなく、体そのものを整え続けているのも、こうした理由からです。
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体の使い方が変わると、トラップも変わる
トラップの技術を磨く前に、体の軸を整えることで動きの安定感が変わることがあります。
そのメリットについて、詳しくまとめた記事があります。
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