練習ではあんなにいい動きをしているのに、試合になると別人みたいに固くなってしまう。ボールが来ても足が出ない、いつものドリブルが出ない。ベンチやサイドから見ていて、思わず「なんで練習どおりにやらないの」と言いたくなったお父さん、お母さんは多いと思います。
でも、お子さんもわざと固くなっているわけではありません。試合になると力んでしまうのには、体の使い方の面から見える理由があります。この記事では、なぜ試合で力むのか、そして力みが抜けるとどう変わるのかを、できるだけやさしくお伝えします。
練習ではできるのに、試合だと急にガチガチになる

試合の独特な空気、勝ち負け、周りの目。緊張する場面では、誰の体にも自然と力が入ります。これはお子さんに限った話ではなく、大人でも同じです。人前で話すときに肩がぎゅっと上がるのと、仕組みとしては近いものです。
問題は、力が入りすぎると体が思うように動かなくなることです。練習では力が抜けているから、いつものプレーができる。試合では力が入るから、同じ体なのに動きが変わってしまう。「気持ちの問題」や「本番に弱い性格」で片づけてしまいがちですが、実際には体の状態が変わっているだけ、という見方ができます。
力むと、体は思ったより動けなくなる
「もっと力を入れて」「強く当たれ」と言われる場面は多いですが、力を入れることと、うまく動けることは、いつも同じ方向を向いているわけではありません。
力を入れる=強い、ではない

全身にぎゅっと力を入れて固めると、その瞬間に動きは止まります。次の一歩が遅れたり、ボールに対しての反応が遅くなったりします。固めれば固めるほど、かえって相手に置いていかれることがあるのはこのためです。力みは、本人が思っている以上に動きの邪魔をします。
「落ち着け」「頑張れ」だけでは力みは抜けにくい
ではどうすればいいかというと、「落ち着け」「リラックスしろ」という言葉だけでは、なかなか力は抜けません。むしろ「力を抜かなきゃ」と考えるほど、体が固くなってしまうこともあります。力みは、頭で理解して消せるものではなく、体で覚えていくものだからです。
緊張しやすいのは、気持ちが弱いからではない
緊張して力んでしまうお子さんを見ると、つい「メンタルが弱いのかな」と心配になるかもしれません。でも、力むこと自体はごく自然な反応で、性格の弱さとは別の話です。むしろ真剣に取り組んでいる子ほど、大事な場面で力が入りやすいものです。
大切なのは、その力みをなくそうと責めることではなく、力が抜けた体がどんな感じなのかを、お子さん自身が知っていくことです。力が抜けた状態を体が覚えていれば、緊張する場面でもそこに戻ってきやすくなります。
力が抜けると、いつものプレーが試合でも出しやすくなる

余計な力が抜けると、体は軽くなり、次の動きへの反応が速くなります。ボールが来たときにさっと足が出る、相手の動きに合わせて体の向きを変えられる。練習でできていたことが、試合でもそのまま出しやすくなる、ということです。
これは新しい技を覚えることとは少し違います。もともと持っている力を、緊張で閉じ込めずに出せるようにする、というイメージに近いです。だからこそ、体格や学年に関係なく、今のお子さんのままで変わっていける部分でもあります。
ふっと力が抜けた瞬間、それまで固かった動きが急にスムーズになることがあります。まわりから見ると「急に良くなった」ように映りますが、本人にとっては、もともとできていた動きがやっと出てきただけ、ということも少なくありません。
本番で力むお子さんに、親ができること
力みは責めても消えません。「緊張するな」「もっと落ち着いて」と声をかけるほど、お子さんは「力を抜かなきゃ」と気にして、かえって固くなってしまうことがあります。まずは、力むこと自体を否定しないでいてあげることが、遠回りのようで力になります。
そのうえで効いてくるのが、勝っても負けても試合を安心して振り返れる雰囲気です。「勝ったか負けたか」だけでなく、「今日はどんな感じだった?」と体の感覚を聞いてあげると、お子さんは自分の状態に気づきやすくなります。力が抜けているときと入りすぎているときの違いを本人が感じ取れるようになると、それが本番での支えになっていきます。
力みが抜けた体は、言葉で聞くより一度味わうほうが早い
力が抜けた状態がどんな感じなのかは、言葉で追いかけるより、一度体で味わってしまうほうがずっと早いです。「あ、これが力が抜けた状態か」と一度わかると、体はその感覚を思い出せるようになります。理屈で覚えるより、体で覚えたことのほうが、緊張した場面でも残りやすいものです。
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