コーチに「フィジカルが弱い」と言われて帰ってきた日から、サッカーの体づくりが気になりはじめました。フィジカルって、何をどう鍛えればいいんだろうと調べた夜、ありませんか。
筋トレさせればいいのか、走り込めばいいのか。答えがはっきりしないまま、「体を大きくするしかない」と半ばあきらめかけていた、という声を聞くことがあります。
まず、サッカーにおける「フィジカル」が何を指すのかを整理しながら書いていきます。
サッカーの「フィジカル」って、筋力のことだけじゃないんです

「フィジカルが強い選手」というと、体が大きくて、ぶつかっても倒れない、力強いイメージがあります。でも実際のサッカーの場面では、フィジカルが指す内容はもっと広くて、いくつかの要素が重なっています。
筋力だけがフィジカルじゃない理由
まず思い浮かぶのが筋力ですが、サッカーで実際に必要とされるのは「力の伝え方」です。筋肉がついていても、地面をしっかり踏めていなければ、接触でぐらっとくる。逆に体が小さくても、重心が安定していれば、相手にぶつかられても崩れにくくなる場面があります。
バランス・柔軟性・持久力はどう関係する?
次に、バランスと柔軟性があります。ドリブルで方向を変えるとき、シュートの瞬間、守備で体を寄せるとき、どの場面も「体がぶれない」ことが土台になっています。体が硬かったり重心がふらふらしたりすると、力を出したい瞬間に体が逃げてしまいます。
そして持久力。試合の後半で動きが落ちる子は、単純にスタミナが足りないこともありますが、「無駄な力みがある」ために早く消耗しているケースもあります。力みが減ると、同じ動きでも体への負担が変わってくる。そういう話を聞くことがあります。
つまり、フィジカルというのは筋力・バランス・柔軟性・持久力・力の伝え方が組み合わさったものです。「フィジカルを強くする」というのは、筋トレだけでは語れない、もっと幅の広い話なのです。
筋トレより先に育てたいもの、あるんです
「子どももフィジカルを鍛えた方がいいですか?」という声をよく聞きます。答えとして一つ言えるのは、子どもの時期は「鍛える前に土台を作る」ことの方が先、という考え方があるということです。
大人と同じメニューで筋肉に追い込むトレーニングは、成長途中の体には向いていないという見方が一般的です。それよりも、この時期に育てたいのは姿勢・バランス・体の使い方の基本です。
「姿勢がいい子は伸びる」とよく言われますが、それは背中をピンと伸ばせという話ではなく、体の重心が自然に安定している状態のことです。どっしりと地面に立てている子は、当たりにも強く、動きの切り替えも早い。
重心が安定していると、体にかかる負担が分散されます。動くたびに特定の部位だけに力が集中しないので、疲れにくくなる面もあります。小学生のうちにこの感覚を育てておくと、体が成長したときに筋力が乗りやすくなります。
逆に、体が力んでいる子は、体幹トレーニングをどれだけ積んでも、試合の中で力みが抜けないことがあります。「鍛える」より「整える」を先にすることで、その後のトレーニングが積み上がりやすくなります。
筋トレは体が完成に近づいてからでも間に合います。でも、体の使い方のクセは早い時期に作られます。だからこそ、小学生のうちは「どう鍛えるか」より「どう使うか」を大事にしたい。そういう考え方が、この時期のトレーニングの土台になります。
当たり負けしない体の話は、こちらに書いています
「うちの子、試合でぶつかられるとすぐに倒れる」という悩みを持つ親御さんは多いと思います。このテーマについては、別の記事で詳しく書いています。
当たり負けの原因として「体が小さい」「筋力が足りない」とよく言われますが、実はそれだけではない、という見方があります。重心の位置と力の伝わり方が変わると、体格が同じでも当たりに対して崩れにくくなった事例があります。「耐えるより支える」という感覚の違いが、接触プレーの結果に影響することがあるのです。
詳しくはこちらの記事で紹介しています。
「体幹を鍛えろ」の前に知っておきたいこと
コーチから「体幹を鍛えなさい」と言われてプランクや腹筋をやらせてみた。でも続かないし、試合でも変わった感じがしない。そういう経験をされた方もいるのではないでしょうか。
体幹トレーニングそのものが悪いわけではありません。ただ、「固める体幹」だけを意識すると、動きの中で体が硬直してしまうことがあります。サッカーで必要なのは、動いている最中に自然に働く軸です。
止まった姿勢でのトレーニングで鍛えた体幹が、走ったり当たったりする場面で機能するかどうか。その橋渡しになるのが「体の使い方」という話です。
化ける子に共通しているのは、才能じゃなかった
ある時期から急にうまくなる子がいます。「あの子は才能がある」と言われがちですが、よく見ると共通しているのは特別な才能よりも、体の使い方が変わったタイミングと重なることが多いようです。
力みが抜けて、重心が安定して、動きの中で体幹が自然に働くようになったとき、技術が一気につながり始める。そういう変化の事例を聞くことがあります。「今うまくない子も変われる」というのは、才能の問題でなく体の使い方という技術の話だからです。
→ サッカーで化ける子って何が違うの?体の使い方に答えがあった
小学生のうちに育てたいのは、フィジカルの土台でした
小学生の子どもを持つ親御さんから「今のうちに何かやらせた方がいいですか?」とよく聞かれます。焦る気持ちはよくわかります。でも、この時期に大切なのは「早くたくさん鍛える」ことではなく、姿勢・バランス・体の使い方の感覚を育てることです。
難しい器具も、プロのようなメニューも必要ありません。日常の動きの中で「体がどっしりしている状態」を体に覚えさせること。それだけで、その後の成長期に体の使い方がぐんと変わりやすくなると言われています。
小学生のフィジカルづくりについては、こちらの記事で詳しく書いています。
→ 小学生のサッカーに体幹トレーニングは必要?プロ並みの筋トレより先に育てたい土台
フィジカルを高める前に、まずやることがある
ここまで読んでいただいて、気づかれた方もいるかもしれません。このサイトで一貫して伝えているのは「鍛える前に整える」という考え方です。
筋力をつけること、持久力をあげること、それ自体は大切なことです。でも、体の使い方が整っていない状態でトレーニングを積み上げると、力みやクセも一緒に積み上がってしまうことがあります。
体の重心が安定して、地面への力の伝わり方が変わると、同じ動きでもパフォーマンスが変わってきた、という事例があります。当たりに強くなった、体が疲れにくくなった、動きの切り替えが早くなった。こういった変化は、筋力アップの前に「体の使い方を整える」ことで起きやすくなります。
フィジカルという言葉は「体の能力全体」を指しますが、その土台にあるのは力の伝え方と重心の安定です。ここが整うと、バランスも柔軟性も持久力も、それぞれが発揮されやすくなります。
体の使い方のクセは、意識して変えられます。
「自分はこういう動き方をするのが当たり前」と思っていたことが、少し別の視点を持つだけで変わった、という話を聞くことがあります。
特に子どもの場合は体がまだ柔軟で、クセが固定される前のほうが変わりやすいです。早い段階で「体の使い方」に出会えることに、意味があります。
「才能の差」と思っていたことが、実は体の使い方のクセだったというケースは少なくありません。ボールを蹴る力が出にくい、競り合いで当たり負けする、動きのキレが出ない。
そういった悩みも、体の使い方という角度で見直してみると、気づきがある場合があります。「変われないのではなく、整っていなかっただけ」と思えると、子どもへの関わり方も少し変わってくるかもしれません。
気になるテーマの記事から読んでみてください。
体の使い方を実際に体験してみたい方は、こちらからどうぞ。
まずは動いてみることで、体の使い方の感覚が変わっていきます。

