試合でお子さんがドリブルを始めた瞬間、相手に体を寄せられてボールを取られてしまう。そんな場面を何度も見てきたお母さんやお父さんは少なくないと思います。
「練習はしているはずなのに、なぜ試合になると抜けないんだろう」と首をかしげることもあるかもしれません。
ドリブルには、実はいくつかの種類と、それぞれ別のコツがあります。お子さんがどこでつまづいているかを知るだけで、練習の方向性がぐっと絞り込まれます。この記事では、よくある4つのつまづきポイントとその対処を、できるだけわかりやすく順に解いていきます。
ドリブルには2つの種類がある

まず知っておいてほしいのは、ドリブルには大きく2種類あるという点です。
ひとつは「運ぶドリブル」。相手がいない開いたスペースへ、できるだけ速くボールを動かす技術です。足元から少しボールを押し出しながら走る、という感覚です。
もうひとつは「抜くドリブル」。目の前に相手がいて、その選手をかわしてから前に進む技術です。こちらは相手の動きを読む・フェイントをかける・緩急をつけるという別の要素が入ってきます。
この2つをごっちゃにしたまま練習すると、何を改善すればいいかが見えにくくなります。お子さんがどちらで困っているかを見分けることが、練習の出発点になります。
それに、ドリブルは「相手を抜くこと」だけが目的ではありません。スペースへ運ぶのも、味方を使うための時間を作るのも、立派なドリブルです。「抜けない=下手」と決めつけずに見てあげることも、お子さんの上達には大切です。
ボールが足につかない・すぐ取られるお子さんへ
よく見られる原因のひとつが「ボールを大きく蹴りすぎること」です。
1回の蹴りでボールを遠くに出してしまうと、足元からボールが離れる時間が長くなります。その隙に相手が入ってきて、あっという間に取られてしまいます。
大切なのは、1回のタッチを小さくして、足元にボールを置き続けることです。子どもなら足元から30センチくらいの範囲を目安にすると、「近い」の感覚がイメージしやすいです。触る回数を増やすほど、ボールをコントロールする感覚がつかめてきます。
また、足のいろんな面を使い分けることも重要です。インサイド(足の内側・土踏まずのあたり)、アウトサイド(小指側の外側)、足裏、インステップ(甲の部分)——それぞれの当たり方でボールの転がり方が変わります。最初はゆっくりでいいので、いろんな面を意識して触る練習をするだけで、扱いがみるみる上手くなっていきます。
焦って速く動こうとすると逆効果です。最初は「ゆっくり、正確に」が近道です。
顔が上がらないお子さんへ
ボールばかり見て走ってしまう——これも小学生によくあるパターンです。
顔が下を向いていると、相手がどこにいるか、どこにスペースがあるかが見えません。相手に正面から当たってしまったり、せっかくの隙を見逃したりすることにつながります。
顔を上げるために必要なのは、「ボールを見なくても扱える」という感覚です。これは練習の反復でしか身につきません。
家でできる練習として、コーンやペットボトルなどの目印をいくつか置いて、当たらないように運ぶ練習があります。目的地(コーン)を目で追いながら体でボールを感じる、という感覚が少しずつ育ちます。ボールを見ていなくてもなんとかなる感覚がつかめてくると、顔が自然と上がっていきます。
顔が上がると、次のプレーの選択肢がぐっと広がります。「パスするか」「自分で行くか」をその場で選べるようになるのも、このステップからです。
相手を抜けないお子さんへ
相手に正面からぶつかるようなドリブルをしていると、なかなか抜けません。抜くドリブルのポイントは「相手の逆を取る」ことです。
同じスピードで同じ方向に進み続けると、相手に読まれてしまいます。そこで使えるのが「緩急」です。少し遅く見せておいて、一瞬だけぐっとスピードを上げる。この速度の変化が相手の体勢を崩します。
軸足の位置も大事です。相手に対して近すぎても、遠すぎてもかわしにくくなります。ちょうどいい距離感は体で覚えていくしかありませんが、「相手の足が届かない少し外側」を意識するのがひとつの目安です。
体の向きとフェイントで相手の重心を逆にずらしてからドリブルする、というのも有効です。左に行くように見せて右に抜く、前に行くふりをして止まる——相手が動いた瞬間に逆をつく、これがドリブルの基本的な仕組みです。
また、左右どちらの足でもボールを扱えると、相手に読まれにくくなります。利き足だけでなく、逆足も少しずつ使っていく習慣があると、あとあとずっと楽になります。
スピードに乗れないお子さんへ
「運ぶドリブル」でスピードが出ない場合、ボールを小さく触りすぎていることが多いです。
開いたスペースを速く走るときは、インステップ(甲)やアウトサイド(小指側)でボールを少し前方に押し出すように蹴って、走る速度に合わせてボールを動かしていきます。自分の走るスピードとボールのスピードが合うと、ぐんぐん前に出られる感覚がつかめます。
ただし、押し出しすぎると相手や味方にボールが当たったり、取られたりします。「狭いところは細かく、開けたら少し大きく」という使い分けが、スピードとコントロールの両立のコツです。
この感覚は繰り返しのなかで体が覚えていきます。広い場所で「少し大きく押し出して走る」練習を、ゆっくりから速度を上げながらやってみるのがおすすめです。
家でできる練習の入口
特別な道具がなくても、家の前や公園でできる基本練習があります。
足裏・インサイド・アウトサイドでボールに触る回数を増やす「ボールタッチ」は、道具がなくてもできますし、触り続けるほど足の感覚が磨かれます。最初は両足をそれぞれ使って、ゆっくり正確に触るだけで十分です。
コーンやペットボトルなどの目印を並べて、ゆっくりとジグザグに運ぶ練習も有効です。目印に当てないように、ボールを自分のそばに置き続ける練習になります。「速く通り抜けよう」とするより、「正確に」を意識するほうが上達につながります。
逆足(利き足でないほう)でも同じ練習を少しずつ入れていくと、バランスよく扱えるようになっていきます。
顔を上げる意識・緩急をつける意識も、練習中から取り入れてみてください。最初はぎこちなくても、繰り返すうちに自然とできるようになってきます。毎日少しでもボールに触る時間を作るのが、遠回りに見えて一番の近道です。
練習しているのに、なかなか変わらないと感じたら
タッチの精度を上げる、顔を上げる、緩急をつける——これらはどれも足の技術です。でも、それだけではなく体の使い方全体も、ドリブルの安定に関係してくることがあります。
ドリブル中に体がぐらつくと、タッチも乱れやすくなります。走りながら細かくボールを扱う動きは、体のバランスや重心の安定と切り離せない動きです。
技術練習を続けながら体の土台も整えていくと、ドリブルが安定してきた、当たり負けしにくくなったという変化を感じたお子さんがいます。プロ選手が技術だけでなく体そのものを整え続けているのも、こうした理由からです。
サッカーで体のぐらつきをどう整えるかについては、こちらも参考にしてみてください。
サッカーで当たり負けしない体の作り方 サッカーの体幹は固めると逆効果?
体の使い方が変わると、ドリブルも変わる
ドリブルの細かい技術を学ぶ前に、体の軸を整えることで動きの安定感が変わることがあります。
そのメリットについて、詳しくまとめた記事があります。
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