サッカーの試合で当たり負けした日、帰ってきた子どもが「また吹っ飛ばされた」とぽつりと言う。その一言が、ずっと頭の中に残っているお父さんやお母さんは少なくないと思います。
コーチに「体幹を鍛えろ」と言われてプランクや腹筋をやらせた。でも続かないし、試合でのぐらつきは変わらない。「うちの子は体が小さいから仕方ない」と、どこかであきらめかけていたりしませんか。
実は、当たり負けの原因を「体格」や「筋力の少なさ」だけに求めると、本当に変えるべきことが見えにくくなります。体の大きさより先に、体の使い方を変えた方がいいかもしれない、と感じたことはないですか。この記事では、当たり負けしにくい子に共通する体の使い方の特徴をお伝えします。
当たり負けするのは体が小さいからじゃない、かもしれない

サッカーの試合で、体の大きい相手と接触したとき、小柄な選手がふっとばされてしまう場面があります。多くの人が「やっぱり体格差が原因だ」と感じます。でも少し考えてみると、体の大きさが同じくらいの子同士でも、当たりに強い子と弱い子がいることに気づきます。
同じ体格なのに、なぜ差が出るのでしょう。
接触があったときに姿勢が崩れるかどうかは、体のどこに重心があって、その力がどこへ伝わるかに関係しています。体が大きければ有利なのは確かですが、力の伝わり方がうまくいっていれば、体格の差を補えることがあります。「この子は体が小さいのに当たりが強い」と言われる選手が存在するのは、そういう理由からきています。
体格を変えることはすぐにはできませんが、体の使い方は変えられます。そこに注目してみるのが、この記事のスタート地点です。
当たり負けしやすい子って、こういうクセがあった
当たり負けしやすい子を観察していると、体の使い方にいくつかの共通点が見えてくると言われています。
膝だけで踏ん張っていないか
まず多いのが、「膝でふんばる」クセです。接触に備えて膝をぎゅっと固めてしまうと、上半身と下半身がうまくつながらず、力を地面に逃がせません。固めた瞬間に、むしろ崩れやすくなります。
棒立ちになっていないか
次に、「棒立ち」の姿勢です。足をまっすぐ伸ばしたまま立っていると、上から力がかかったときに逃げ場がなく、そのままドミノのように倒れてしまいます。重心の位置が高いほど、少しの力で姿勢が崩れやすくなります。
固めるだけになっていないか
もう一つが、「固めるだけ」の体の使い方です。接触が来るときに全身に力を入れて「耐えよう」とする子がいます。力を入れること自体は悪くないのですが、固めることだけを意識すると動きが止まり、相手の力をうまく受け流せなくなります。
少し観察すると、このクセは試合中だけでなく練習のなかでも出ていることが多いです。相手がボールを持ってくる場面で、体がじわっと固まる。そのまま接触に入るので、力が逃げずに吹き飛ばされる、という流れです。本人は「頑張って踏ん張った」つもりなのですが、固めた瞬間に体が止まってしまっているのが実際のところです。
これらに共通しているのは、「力の出口がない」という状態です。入ってきた力をどこかへ逃がしたり、地面に伝えたりする流れができていないため、そのまま姿勢が崩れます。
崩れにくい子に共通するのは、「耐える」ではなく「支える」感覚
当たりに強い子の体の使い方を見ると、「どっしりと支えている」という印象があります。相手の力に対して無理に抵抗するのではなく、自分の体の重心を下に落として、地面としっかりつながっている感じです。
重心が安定していると、接触があっても体の中心がぶれにくくなります。相手の力が来たとき、それをどこかに「流せる」体の状態になっています。「耐える」というより「支えている」という表現がしっくりくるかもしれません。
また、崩れにくい子は膝や股関節が適度に曲がっていて、上半身と下半身がつながっている状態を保っています。全身がひとつの流れの中にある、というイメージです。力の伝わり方がスムーズになると、相手の力を受け流したり、体のバランスを取り直したりすることができます。
才能ではなく、体の使い方という技術の話です。どこに重心を置いて、どのように力を伝えるかという感覚は、意識して練習することで変えられるものです。
家でできる「体の使い方」の確認
難しいトレーニングを始める前に、今の体の使い方を確認することができます。
一つ目は、「片足立ち」です。片足で立ったとき、ぐらぐらと揺れてしまう場合は、重心が安定していない可能性があります。このとき、膝を少し曲げて重心を下げてみてください。ふわっと安定する感覚があれば、それが「支えている」状態に近づいている瞬間です。
二つ目は、「軽く肩を押してもらう」確認です。家族に軽く肩を押してもらい、どのくらいでよろけるかを見てみます。膝を少し曲げて重心を落とした状態と、まっすぐ立った状態で比べてみると、重心の高さが姿勢の安定に関係していることを体で感じやすくなります。
無理のない範囲で試してみてください。
体の使い方が変わるかどうかは、こういった小さな気づきの積み重ねから始まります。特別な道具がなくてもできる確認なので、試合前の習慣にしてみるのも一つの方法です。
鍛える前に、まず整えるという順番の話
「体幹を鍛えましょう」という言葉はよく聞きます。体幹を鍛えることは大切ですが、体の使い方が整っていない状態でトレーニングを積み重ねると、クセのある動きが強化されることがあります。
こう考えると、整えてからトレーニングをする方が練習が積み上がりやすくなります。逆に言うと、いくら鍛えても体の使い方が変わらなければ、当たり負けのクセも変わりにくいということです。
体の使い方を変えたことで、当たり負けしにくくなったという事例があります。筋肉量が変わったわけではなく、重心の位置や力の伝え方が変わったことで、同じ体格でも崩れにくくなったというケースです。
才能でなく体の使い方の話だとすれば、変えられる可能性があります。小学生の今の時期は、筋肉をつけることより、体の使い方の土台をつくる方が先です。
体幹トレーニングと体の使い方の関係については、サッカーの体幹は固めると逆効果?「使える軸」があると力みが抜けてプレーが変わったでも詳しく書いています。小学生のお子さんを持つ方は、小学生のサッカーに体幹トレーニングは必要?プロ並みの筋トレより先に育てたい土台もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q: サッカーで当たり負けしない体になるには?
体格よりも、重心の位置と力の伝え方が大きく影響します。体の使い方を変えることで当たりに強くなったという事例があります。まずは「耐える」ではなく「支える」感覚を体で覚えることが出発点になります。
Q: プランクより先にやることがある、って本当?
プランクで腹筋まわりを鍛えることは無駄ではありません。ただ、体の使い方が整っていない状態でプランクを続けると、固めるクセがそのまま強化されることがあります。まず重心の位置を体に覚えさせてから、トレーニングを積む順番の方が変化につながりやすいです。

