サッカーの体幹は固めると逆効果?「使える軸」があると力みが抜けてプレーが変わった

サッカーの体幹は固めると逆効果?「使える軸」があると力みが抜けてプレーが変わった 体の土台

サッカーの体幹トレーニングのつもりか、試合の前日に子どもが自分で鏡の前でプランクをやっていた。でも翌日の試合でも相変わらずふらついていた。何が足りないんだろうと思ったことはないですか。

でも「鍛えているのに変わらない」という声は思った以上に多く聞かれます。その原因のひとつが、「固める体幹」と「使える体幹」の違いにあるかもしれません。

体幹トレーニングをがんばっているのに、何も変わらない

体幹トレーニングをがんばっているのに、何も変わらない

サッカーをしている子どもを持つ親御さんから、こんな話をよく聞きます。「コーチに体幹が弱いと言われて、家でプランクをやらせている。でも試合でまだふらつく」。

プランクは体の中心を固定する筋肉に刺激を入れる動きです。毎日続ければ、確かに腹筋まわりへの負荷はかかります。でもそれが試合の動きにそのまま反映されるかというと、話は少し違います。

プランクで鍛えた「じっとしていられる力」は、動き回るサッカーの場面でそのまま使われるわけではないからです。体幹の力はあっても、動きの中でその力が働かない状態というのが起きやすいのです。

固めようとするほど、動けなくなることがある

体幹トレーニングの多くは「静止した状態で体を安定させる」動きです。プランク、腹筋、背筋など、どれも体を止めて力を入れる練習です。

この「固める」意識が体に染み込むと、プレー中にも体をぎゅっと固めようとする場面が増えてきます。ボールを受けるとき、相手とぶつかるとき、シュートを打つとき。力む=体を固めることで安定しようとするのです。

ところが、体を固めて動こうとすると、動きが遅くなります。走りながら方向を変えるとき、固まった体はスムーズに反応できません。力みが強いと上半身と下半身がばらばらに動いてしまい、結果的に当たりに弱い状態になることもあります。

インナーマッスル(体の奥にある深層の筋肉)を鍛えるとよいと言われるのも、この固める筋肉(表面の大きな筋肉)だけでは体の中心が安定しないからです。でも「インナーを鍛える」ことだけを意識しても、それが動きの中でうまく働かなければ効果は限られます。

大切なのは、鍛えた筋肉が「動きの中で自然に働く状態」になっているかどうかです。

動きの中で自然に働く軸って、何なんだろう

「軸が通る」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。体の軸を固める、というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、動きに活かせる軸は少し違います。

軸が通った状態とは、力まなくてもどっしりと安定していて、しかもすぐに動き出せる状態のことです。木に例えると、幹がしっかりしていて、枝がしなやかに揺れる感じに近いかもしれません。

この状態のとき、体はバランスを保ちながら次の動作にスムーズに移れます。相手に当たられても姿勢が崩れにくく、ボールを受けながら周りを見る余裕も生まれます。「耐える」のでなく「支える」という感覚です。

逆に、軸がない状態で筋肉だけ鍛えても、力が散ってしまいます。押されたときに踏ん張るのに精一杯になったり、強く蹴ろうとするほど力みが増してうまく力が出なかったりします。

「固める力」に「使える軸」が加わると、体幹トレーニングの効果が動きの中に出てきます。鍛えることを否定するのでなく、鍛えた力が実際のプレーに乗るかどうかが変わってくるのです。

家でできる、軸を感じる動き

軸を「感じる」ための動きは、道具も広いスペースも必要ありません。特別な器具がなくても、体の使い方を確認できる動きがあります。

片足立ちで、重心がどこにあるかを感じてみる

まず試してほしいのが片足立ちです。壁の近くに立って、片足をゆっくり上げてみてください。このとき、上げた足をどこかに力を入れて支えようとすると、体がぐらつきます。逆に、体の中心がすっと地面につながる感覚があると、ふらつきが少なくなります。

足の指を使って、地面とのつながりを確認する

次に足指を使ったバランスの確認です。裸足で立って、足の指を床にやさしくおろしてみてください。足指が床をつかんでいる感覚があると、地面からの力が体に伝わりやすくなります。足指が浮いていたり、足の甲に力が入っていたりすると、下から上への力がうまく通りません。

この2つの動きは、体幹トレーニングの前後に確認するだけでも、自分の状態を知る手がかりになります。硬い体と柔らかい体の違いではなく、「通っているかどうか」を感じる練習です。

試合前にこういった動きを取り入れて、体の使い方を確認してから練習に臨むようになったという事例もあります。ウォームアップにこれらを入れたことで、体幹を固めすぎずに動ける感覚がつかめたという話も聞かれます。

鍛えても変わらなかったのに、動きが変わったのはなぜ?

体幹トレーニングを続けても変わらなかった子が、体の使い方を意識し始めてから動きが変わったという事例があります。プランクの回数が増えたからではなく、「力を入れるタイミングと場所が変わった」という感覚の変化が先にあったというものです。

体幹の力をつけることは無駄ではありません。鍛えた筋肉は確かに体の中にあります。でもその力が動きに乗らないと、練習量のわりに変化を感じにくい状態が続きます。

逆に、体の軸が通った状態でトレーニングができると、同じ練習でも体への入り方が変わってきます。バランスが安定した状態で動き続けることで、姿勢と動きがセットで身についていく感覚です。

鍛えることを否定はしていません。ただ、何をやるかより、体の軸が整った状態でトレーニングできているかどうかの方が先です。鍛えるより整えるが先、というのはこういうことです。練習の積み上がり方が、少しずつ変わっていく可能性があります。

よくある質問

Q: サッカーで必要な体幹トレーニングは? 固めるより使える体幹を目指すことがポイントです。動きの中で軸が働く土台を作ることが、プレーへのつながりを生みます。

Q: 家でできるサッカーの体幹トレーニングは? 片足立ちや足指でのバランス確認など、道具なしで軸を感じる動きから始めた方がいます。特別なメニューでなくても、体の使い方を確認する動きが入口になります。

Q: プランクをやってもなぜ試合で変わらないの? プランクは静止した状態で体を固める練習です。試合中の体は常に動いているため、固める筋肉を鍛えてもそのまま動きに出てきにくいのです。何をやるかよりも、体の軸が整った状態でトレーニングできているかどうかの方が先になります。

当たりに強い体の作り方も読んでみてください

体幹の使い方と合わせて、「当たりに強い体」の土台についても整理しています。体格より力の伝え方という観点は、体幹の話ともつながっています。

→ サッカーで当たり負けしない体の作り方

小学生のお子さんをお持ちの方は、こちらもご覧ください。

→ 小学生のサッカーに体幹トレーニングは必要?

体の使い方を体験してみたい方へ

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