試合中、パスを出したのに味方の足元に届かなかった。
相手にカットされた。味方が走ったのに、ボールが全然違うところへ飛んでいった。そんな場面を何度も見ていると、親としてもどかしくなりますよね。
でも、パスのミスには必ずといっていいほど理由があります。お子さんが「なんとなく蹴っている」状態から抜け出すための基本を、一つずつ整理していきます。
インサイドキックが、パスの基本です

試合中に一番よく使うパスは、足の内側で蹴る「インサイドキック」です。くるぶしの下から土踏まずにかけての、平らで面積の広い部分でボールをとらえるので、接地面が大きく、狙った方向へコロコロと転がしやすいのが特徴です。
基本の形はシンプルです。
まず、ボールを出したい相手の方向へ、軸足のつま先を向けます。軸足はボールの真横(こぶし1つ分ほど横)に置き、膝を軽く曲げておくと安定します。蹴り足はつま先を外に開いて、足の内側の面を相手に向け、足首をしっかり固定したまま、ボールの中心をとらえて振り抜きます。
このとき、足首がゆるんでいるとボールが散ります。「固定したまま面でとらえる」が、インサイドキックの大事なポイントです。
パスがずれる、弱い、と感じているお子さんへ
ずれてしまうとき
インサイドキックでパスがずれる原因は、だいたいいくつかに絞られます。
軸足のつま先が相手を向いていない、足首がゆるむ、ボールの芯を外している、振り抜く方向が曲がっている、このどれかです。
なかでも一番影響が大きいのは、軸足のつま先の向きです。ボールは、基本的にこのつま先が向いた方向へ飛んでいきます。「なぜかいつも右にずれる」というお子さんは、つま先が右を向いていることが多いです。
まず、「軸足のつま先をちゃんと相手に向けてみて」と一言伝えてみてください。それだけでかなり変わることがあります。
弱くなってしまうとき
パスが弱いお子さんの多くは、足の力だけで蹴ろうとしています。上体が後ろに反った状態で蹴ると、力が逃げてしまい、ボールに体の重みが乗りません。
上体を少し前かがみにして、体ごと押し出すように蹴る感覚が大切です。ドンっと前に体を運ぶイメージで蹴ると、自然に力が乗りやすくなります。
パスが浮いてしまうお子さんへ
試合で使えるパスは、地面を転がるグラウンダーが基本です。山なりに浮いたパスは、相手にカットされやすく、受ける側も次の動作がしにくくなります。
パスが浮いてしまうのは、ボールの中心より下を蹴っているからです。中心より下をとらえると、力が上向きに働いて、ボールが浮き上がってしまいます。
インサイドキックはそもそも、ボールを浮かせるための蹴り方ではありません。足の面でボールの真ん中をピタッととらえると、ボールは地面を転がります。「浮かせない蹴り方」として設計されている、と覚えておくと狙いが定まりやすいです。
その代わり、インサイドキックは強く遠くへ飛ばすのは苦手です。近い〜中くらいの距離を正確に転がすのがインサイド、長い距離は足の甲で蹴るインステップ、というように使い分けると無理がありません。
首を振れない、出しどころが見えないお子さんへ
パスは、蹴る技術だけで上手くなるわけではありません。「どこに出すか」の判断が、蹴る技術と同じくらい大切です。
ボールが来てから周りを見ようとしても、プレッシャーがかかっていると判断が間に合いません。受ける前に、すでに「どこにスペースがあるか」「味方がフリーか」を把握しておく必要があります。
そのために使うのが、首を振るという動作です。
こまめに首を振るタイミングは、味方がボールに触る直前、ボールが動く瞬間、自分がボールを受ける直前の3つです。このタイミングでスッと顔を上げて、フリーの味方、空いているスペース、近くにいる相手、この3点を確認します。
ボールだけをじっと見ていると、どうしても視野が狭くなります。顔を上げる習慣がつくと、受ける前からすでに出しどころが見えている状態になります。最初はぎこちなくても、繰り返すうちに自然にできるようになります。
家でできる練習の入口
特別な環境がなくても確認できる練習があります。
壁当ては、一人でできてすぐに結果がわかります。壁に向かってインサイドキックで蹴り、同じ場所にまっすぐ返ってくれば正確なパスが出せています。ずれて戻ってきたら、どこかにミスがあるサインです。軸足の向き・足首の固定・芯をとらえているか・振り抜きの方向、この4つを一つずつ確認してみてください。
相手がいれば、近い距離の対面パスがシンプルで効果的です。速くなくていいので、足元にピタッと届けることを最優先にします。
首を振る練習は、受ける前に必ず顔を上げることを癖にするだけで始められます。試合でいきなりやろうとすると難しいので、練習中から意識する方が身につきます。
毎日少し、ゆっくりと正確にやることから始めるのがいちばんです。
軸足の安定と体の使い方が、パスの精度を支えている
「軸足も意識している。足首も固定している。なのに、なぜかパスが安定しない」。こういうお子さんが、いることがあります。
蹴り方の技術は正しいのに、仕上がりにばらつきが出るとき、軸足の安定や上体のブレが関係していることがあります。軸足がぐらついていたり、蹴る瞬間に上体が力んで反ってしまうと、同じフォームで蹴っていてもボールが散りやすくなります。
プロ選手が技術の練習と並行して体そのものを整えていることを、ご存じの方も多いと思います。体の軸や重心が安定すると、パスが安定してきた、という子がいます。技術面が揃ってきたお子さんに、体の使い方という視点が加わると変わることがあるかもしれません。
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