シュートを打った直後、片足のまま二、三歩つんのめって、体が前に流れる。着地でぐらついて、次の動きが一拍遅れる。試合を見ていて、そんな場面はありませんか。
よろけていると、つい蹴った足のほうに目が行きます。でも、そのとき体重を受け止めているのは反対側の足、軸足のほうです。蹴ったあとの崩れは、蹴り方よりも軸足の使い方に理由があることが少なくありません。
止まったボールを蹴らせてみると、パンッといい音がしてまっすぐ飛んでいくのに、試合になると同じようにはいきません。
「なんで蹴ったあとだけ、あんなに体が崩れるんだろう」。
コーチに言われて体幹トレーニングを取り入れてみても、次の試合でまた同じところでよろける。それが何度か続くと、次はどこを直せばいいのか分からなくなってしまいます。
軸足のトレーニングというと、片足スクワットのような練習を思い浮かべるかもしれません。ただ、その前に置き場所の目安を知るだけで、蹴ったあとの流れ方が変わる子もいます。家でやることも、片足立ち十秒ひとつで足ります。
軸足はボールのどこに置く?
ボールの真横に、靴が横一足分
目安は、ボールの真横に、自分の靴が横に一足分入るくらいの間をあけたところです。前後は、ボールの中心と軸足のかかとが並ぶあたり。つま先は蹴りたい方向へ向けておくと、足が振り抜きやすくなります。ひざは伸ばしきらず、少しゆとりを残しておきます。
近すぎると、振り抜くときに体がボールへ寄りすぎます。離れすぎると、届かせようとして上半身が横に倒れます。ボールとの間が一足分、かかとが並ぶ、つま先は蹴る方向。ここがそろっていれば、位置としてはまず十分です。
合っているかは、写真一枚で分かります
確かめ方はかんたんです。止まったボールを蹴る直前でいったん動きを止めて、そのままの足の位置を横と上から一枚ずつ撮ります。本人は真横に置いたつもりでも、かなり前まで踏み込んでいることがあります。
写真だと、かかとがボールの中心より前に出ているかどうかが一目で分かります。蹴っている最中に「もっと横」と声をかけるより、止まった一枚を一緒に見るほうが、本人にも伝わります。
位置を直したのに、なんで安定しないんだろう

ボールを蹴る瞬間、体重のほとんどは地面に残っているほうの足に乗っています。右足で蹴るなら左足、左足で蹴るなら右足。軸足は蹴る方向を決める足であると同時に、体ぜんぶを受け止めている足です。
だから、「軸足はボールの真横だよ」と教わって位置を直したはずなのに、それでもよろけてしまう子がいます。その場所に足を置けたとしても、そこで体重を支えられるかどうかは別の話だからです。
位置という「形」が合っていても、支える力が伴っていなければ、蹴った瞬間に崩れてしまいます。位置を直しても変わらないときは、置き場所をさらに細かく直すより、立っているときの体重の乗り方に目を移したほうが、変化が出やすくなります。
ボールをどこに当てて、どう振り抜くか。体をどちらに向けて蹴るか。蹴り方そのものの技術は、また別の話です。そこはシュートが上手くなる方法でくわしくまとめています。ここでは、その手前にある「支える力」の話を続けます。
踏ん張らせるほど、なぜかぶれる
「軸足をしっかり踏み込め」と言われたことのあるお子さんもいると思います。踏み込むこと自体は間違っていません。ただ、「踏ん張らなきゃ」と力を込めて足を地面に押しつけるほど、逆に姿勢は不安定になります。
力を入れて固めた足は、細かい揺れに対応できません。ボールを蹴る瞬間、体はほんの少しずつ揺れながらバランスを取り直しているからです。
軸足がガチガチに固まっていると、その揺れを吸収できず、代わりに上半身が大きく流れて逃げようとします。踏ん張るほどぶれて見えるのは、こうした理由からです。強いキックを打とうとするほど軸足にかかる負担は増えるので、試合ではこのズレが目立ちます。
試合のとき、どこを見れば気づけるんだろう
練習中の止まったボールでは崩れないのに、試合になると崩れる。その差を見分けるヒントは、蹴ったあとの数秒にあります。次の練習や試合では、蹴った直後だけを見てみてください。
蹴ったあと、着地でぐらついていないか
着地の足がぐらつく場面があるかどうか。ぐらつき方にもいろいろあって、着地の足が内側に入ってしまう子もいれば、外側へ流れていく子もいます。どちらのタイプかを覚えておくと、このあとの話がわかりやすくなります。
ひざが伸びきったまま蹴っていないか
軸足のひざが伸びきって、棒立ちのようになっていないか。ひざに少しゆとりがある状態のほうが、体重の変化を受け止めやすくなります。正面からだと分かりにくいので、横やななめ後ろから見ると違いに気づきやすいです。
体だけが先に流れていないか
上半身だけが大きくのけぞったり、横に流れたりしていないか。後ろに反るのか、横に流れるのかでも、体の使われ方は変わります。このどれかが目立つときは、蹴る力よりも、軸足が体重を支えきれていないサインです。
小学生年代の少年サッカーでは、体つきも体重の乗せ方も一人ひとり違うので、ほかの子と比べる必要はありません。同じ子の中で「止まって蹴るとき」と「試合で蹴るとき」を見比べると、違いに気づきやすくなります。
今週やるのは、片足立ち十秒だけ

軸足のトレーニングというと、片足スクワットやバランスボード(乗って揺れる板)のような器具を使った練習を思い浮かべるかもしれません。ですが、小学生の年代で筋力そのものを追い込む必要はありません。体の使い方が整わないまま筋力だけ足すと、力の入れどころがずれたままになりやすいからです。
今週やることは一つでかまいません。裸足で片足立ちを十秒、左右とも。それだけです。
十秒のあいだ、体がどちら向きに揺れるか、足の裏のどこに体重が集まっているかを、ただ見ておきます。無理に「まっすぐ立とう」とがんばらなくて大丈夫です。揺れること自体は自然なので、その揺れ方に自分でどれくらい気づけるか、というところからで十分です。
左右を続けてやると比べやすくなります。片方だけ足の指が浮く、片方だけ大きく揺れる。そんな差が見つかることがあります。蹴るときの軸足になるのは利き足と逆の足のことが多いので、そちら側をていねいに見ておきます。
お風呂上がりでも、練習前のグラウンドでもかまいません。回数を増やすより、同じ足で何日か続けて、揺れ方が変わってくるかを見るほうが分かりやすいです。
余裕があれば、スパイクの裏を左右で見比べる
普段はいているスパイクや運動靴を、裏返して左右並べてみます。外側だけがすり減っている、片方だけかかとが極端に減っている、つま先の内側だけ白くなっている。そうした差は、ふだんどこに体重を乗せて立ち、どう地面を離れているかのヒントになります。
左右がだいたい同じように減っているなら、ひとまず気にしなくて大丈夫です。片方だけ大きく違うときは、片足立ちの揺れ方と合わせて見ておくと、試合での崩れ方とつながって見えてきます。
動画があれば、蹴った直後の三秒だけ
練習や試合の動画が残っていれば、蹴った直後の三秒だけ見返します。着地の足がどちらに流れているか、ひざが伸びきっていないか。そこだけなら、寝る前の数分で終わります。片足に乗ったときの感覚をもう少し詳しく知りたいときは、サッカーの体幹は固めると逆効果?で書いています。
踏ん張らせるより先に、立ち方を見てみませんか

軸足を強く踏ん張らせようとするより先に見てほしいのが、立っているときの足の裏です。かかとから指のつけ根まで、地面にべたっとついているか。それとも外側だけで立っていて、内側が浮いているか。
両足で立っているときの乗り方は、片足になるとそのまま出ます。外側だけで立っている子は、蹴った勢いも外へ逃げていきます。足の裏全体で体重を受けられていると、蹴ったあとに大きく流れず、一歩か二歩で止まりやすくなります。
力を込めて踏ん張ることと、体重が足の裏に乗って自然に支えられることは、似ているようで違います。踏ん張るのをいったんやめて立ち方を整えたら、蹴ったあとのよろけが一歩か二歩でおさまるようになったという話もあります。
蹴るときにぶれないことと、当たられても崩れないことは、実は同じ土台の話です。接触のときの崩れも気になるなら、サッカーで当たり負けしない体の作り方に、体を支える力の使い方をまとめています。
よくある質問
Q: サッカーの軸足はどこに置くのが基本ですか?
目安は、ボールの真横に靴が横一足分入るくらいの間をあけて置き、つま先を蹴りたい方向へ向けるところです。前後はボールの中心とかかとが並ぶあたり、ひざは伸ばしきらず少しゆとりを残します。位置は蹴るための入り口の確認で、そこから先の当て方や振り抜き方といった技術は、また別の話になります。
Q: 軸足が安定しないのは何が関係していますか?
力を入れて踏ん張ろうとするほど足が固まり、蹴る瞬間の細かい揺れに対応できなくなります。位置や筋力よりも、体重をどう支えているかという体の使い方のほうが、蹴ったあとの姿勢に効いてきます。
Q: うちの子はまだ低学年ですが、軸足を意識するのは早すぎませんか?
低学年のうちから、位置や力の入れ方を細かく教え込む必要はありません。裸足で片足立ちをして、どっちに揺れるかを言い合ってみるくらいの、遊び感覚で気づくところからで十分です。
Q: 軸足のトレーニングは家でもできますか?
道具がなくてもできます。まずは裸足の片足立ちを左右十秒ずつ、それだけで構いません。慣れてきたら、靴の裏の減り方を左右で比べる、蹴った直後の動画を三秒だけ見返す、を足していきます。追い込む練習より、今の状態に気づくことが先になります。
ここまでの見るポイントと片足立ちは、家でもできる範囲のことです。そのうえで、今の立ち方と体重の乗り方を見て、体の使い方を少し変えてから、もう一度片足で立ってみる。揺れ方がその場でどう変わるかを、本人に確かめてもらう時間があります。説明を聞いて分かるより、一度違いを感じるほうが早いことがあります。
お子さんと一緒に受けることもできますし、まずは親御さんだけで体の使い方を知っておきたいという場合にも向いています。反対に、今は試合で見るところが決まっただけで十分という段階なら、しばらく様子を見てからでも遅くはありません。
